2013/12/07

僕のシゴトバ

仕事場にはいろんなものが滲み出る。社風や性格だったり、価値観や、時には人生そのもの。

Googleは、仕事場には寛容な社風で知られている。ナンダこれは、というセッティングの人も多い。でかいピタゴラ装置が机の半分をしめている人もいた。犬がいる。それも何匹も。

まあ、こういう人も確かにいる
僕も色々とやってきた。実践的なものも、ウケ狙いで全然生産性が上がらないセッティングもあった。ここらでまとめておこうと思う。参考になれば幸いだ。なるか疑問もあるが…まあ、やってみてから考えよう。

まず、Googleに入った時はこんな感じ。

入ったばかりの時はまだ物も少ない
ラップトップをセカンドディスプレイに使う。わりとよく見かけるセッティングだ。引っこ抜けばそのまますぐに会議へ行けるのもいい。Marwareのパームレストシートがお気に入りだった。湾曲したAppleキーボードがなんか懐かしい…。ちなみにペンタブレット派。

アジア太平洋地域のマネージャーになったり、Doodleを描いていた時。
だんだんものが多くなって騒がしくなってきている。
画面に直接描けるCintiqがセカンドディスプレイになって、絵描き仕様だ。上の葉っぱみたいなのは、Google UXの定番アイテムで、IKEAで売っている。キーボードは、変態が使うと名高いKinesisになった。尊敬する同僚が何人か使っていたので真似て使い始めたのだが、最初の一週間は生産性が10分の1くらいに激減して後悔した。Kinesisは超神水のようなもので、苦しみを乗り越えれば戦闘力が上がるものの、運が悪いと死んだり(生産性が落ちている間にクビになる)するので覚悟は必要だ。脳に直結されさえすれば本当に素晴らしいキーボードだ。もちろん悟りが開けて現在も愛用している。本当によいものは、苦さ、苦しさの後に得られる事を教えてくれる哲学がKinesisにはある。

Kinesisで画像検索するとひどい…

六本木ヒルズに移ってからは、自腹で畳パネルとコタツを持ち込んで、自分の机にすることにした。
わりとみんな大喜び
思いつきで勝手にやったのだが、誰も怒らないどころか喜ばれた。いい会社だ、と思った。コタツは腰に悪いので机に長くいる職人にはオススメできないが、この頃は会議ばかりだったのでうまくいった。畳とコタツの和みから、自然と人が集まる効果があり、部署のためにもよかった。会議から戻ってきても、大抵誰かがいてミカンを食ってたりするので仕事にはならない。
たいてい誰かがいて自分の机なのに自分が座れない。
東日本大震災の時も混乱の中いつの間にか人が集まって、結局このコタツがしばらく対策本部になった。
震災2時間後にクライシスレスポンスを立ち上げた時の様子

その後、アメリカ本社にグローバルマネージャーとして来てからは、個室をあてがわれたりもした。
個室に入ったものの落ち着かない
だが、性に合わなかったので結局仲間と並んで座ることにする。
そのときがこんな感じ。Googleではスタンディングデスクを積極的に導入していて、それと日本から持ってきた畳パネルを使って、2階建て構造の斬新なデュアルディスプレイにした。ちなみに、僕は職場では可能な限り裸足だ。素足に沖縄畳が気持ちいい。

周囲を驚かせたダブルデッカー
同僚はダブルデッカーと命名した。立っている時は上のディスプレイ。絵を描くときは畳に座る。

立てば通常業務
座れば絵が描ける
ただ、命名までしてもらってなんだが、生産性は微妙だった。机が間に挟まるのでデュアルディスプレイの恩恵が全くないのだ。やってみてはじめてわかることは、色々ある。
ちなみに、横においてあるのはzboardという電動スケートボードで、社内の移動はこれでしている。



机の端にはNFC用のタグが貼ってあって、オフィスに来た時に携帯をここにタップするだけで、着信音がオフになり、BluetoothやGPSが切られるなど、オフィス仕様の設定になる。オフィスを出る時にタップすると戻る。設定に使っているアプリはTrigger.だ。


Kinesisは通常作業用で、グラフィックワークにはAppleキーボードを使っている。ショートカットが印刷されたキーボードカバーはPhoto JoJo 。上に見えるのはPowerMateで、色々な作業がプログラミングできる。見た目の格好良さの割に実用性はまあまあ(キーボードショートカットがアサインできるものの、ショートカットの方を覚えていればそちらの方が早いので…)。でもなんとなく格好いいからもう10年くらい使っている。

時には部下に見られると問題になる作業もある。そういうときのための個室だったりするのだが、みんなの中に入ると丸見えなので、そういう作業のためにSonyのヘッドマウントディスプレイを投入した。(会議室借りろよ、という発想はなかった)
注:仕事中
どうせヘッドマウントするなら膝の上にキーボードを置くんじゃなくて、SFっぽく、両手を離してソファのアームレスト辺りに置いて作業したい。そういうセッティングをするためにはキーボードを分割して、しかもその2つの間の距離を相当長く取らなければならないが、そんなキーボードはない。そこで、KinesisのFree Style2キーボードをハックして2分割距離を延長した。


20軸つなぐのは手間がかかる作業だが、ヘッドマウントディスプレイでSFチックな環境が構築できると思うと、ワクワクして何の苦にもならない(仕事しろ、という発想はなかった)
そして完成。 とてもSFっぽい状態になって、自己満足度は高い。
YouTubeを観ていてもバレない上に、3D映像で観ることすら可能。

ただ、プロジェクトXさながらに問題は残る。マウスだ。マウスが必要になる度にあわあわと手は虚空を彷徨うのだ。やってみないとわからないことはやはり色々あるものだ。
ちなみにGoogle本社には、レーザーカッターや3Dプリンタ、CNCミルなどを備えたMakerたちが自由に使える工房「Garage」があり、キーボードもそこで制作した。Garageでは社員同士、持っているスキルを教えあう講座を開いたりしていて、こういうスペースがあるのは本当に素晴らしい。

さて、Niantic Labsに移ったあとは、今までの成功と失敗を糧に、さらに進化を遂げたセッティングにしている。だが、謎の組織なので、内部の公開はできない。なにしろ公開されているNianticの様子はこんな感じなのだ…。
ここは…一体…。
どうだろう。あなたのシゴトバを考える参考になったら幸いだ。でも、参考になったんだろうか…。

ひとつ言えるのは、やはり、何事もやってみると色々わかることがある、ということだ。

きっとこういう「まあ、とりあえずやってみよう」という姿勢から、新しいシゴトバが生まれてくるのだと思う。え? ちゃんと仕事もしていますとも。してます。ダイジョブ。



P.S.
現在、世界最強のエージェントを選ぶ「Elite V」というコンテストが開かれており、そこで世界中から選ばれた5人は、来年ここ、Nianticを訪れることになっている。もし興味があればあなたもぜひノミネートを。

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