2020/10/15

「失敗を讃える日」に、ビデオ会議改善に向けた失敗の数々と向き合う



10月13日は「National Day for Failure 失敗を讃える日」だったらしい。
エジソンは「私は失敗していない。うまくいかない方法を1万通り見つけただけだ」という言葉を残したそうですが、本当にうまくいかないかどうかは試してみないとわからないわけですから、うまくいかないことを恐れずにとにかく色々やってみることが、先へとつながるわけですね。
僕も最近でも、散々、うまくいかないことを重ねています。
すぐに思い浮かぶのは、ビデオ会議改善に向けた自由工作の数々。せっかく失敗を祝う日なので、うまくいかなかったこと、うまくいったことをここで共有しようと思います。

ひとつめは、自分の話す声を消しながら話すこと。
僕は家でビデオ会議しているとき、時差の関係で深夜になったり、早朝になったりします。自宅は寝室とリビングしかなく、隣の部屋では家族が寝ているので、起こさないように気を使います。オンライン飲み会みたいに盛り上がってしまう場合は、トイレに籠もることもありました。イヤホンをつければ相手の声は周囲に聞こえないようにできますが、自分の声は消せません。なんかいい方法ないかな、と頭のどこかで考えていたある日、同僚社員が、「オフィスが開いても、会議室で(密を避けるために)一緒に話せない縛りがあったりしますよね。糸電話とかで話すしかないのかな…」

糸電話…。それだ!
いつだったか、自分の口につけて、自分の声をミュートするゴムカップをクラウドファンディングで見たことがあったのですが、見た目がひどく厳つくて、アイディアはわかるんだけど買う気にならなかったんですね。でも、糸電話なら子供の時にも遊んでるし、もしかしたらかわいい感じになるんじゃないか、と思いました。オンライン糸電話、なんかかわいくないですか。
で、こんな安めのピンマイクを糸に見立てて、

紙コップにくっつけて、

中に吸音材を仕込んで、音漏れを減らします。

そうしたら、こうなりました。


これなら、なんかちょっとひそひそ話しても自然?な感じだし、かわいげある感じでいけるんじゃない?

と思ったんですが、実際に使ってみたら、音漏れはだいぶ減るものの、やっぱりなんかちょっとビデオ会議の相手に違和感ありますね、なんで糸電話してんの、的な、となったんですね。いや、わりと機能はするんですよ、ほんとに。方向は悪くない。

で、どうしたら違和感減らせるかな、と考えたんですね。多分、糸電話という普段なら登場しないアイテムが出てくることが問題なのかな、と。たとえばオンライン飲み会をしている時に画面に出ていて自然な何かならいけるんじゃないのか。あ!と思いついて注文したのが、これ!
元祖食品サンプル屋

自分で食品サンプルが作れるというキットです。つまり、紙コップじゃなくてビールだったら、飲み会で手に持っていたって口に当てていたって、違和感まったくないですよね。まさか食品サンプルまでDIYする日が来るとは思いませんでしたが、キットがよくできているせいか、意外と楽しいんです。中にはこんなふうにビールと泡のモトが入っていて、お湯で温めてカップに入れていく感じです。
普通のサンプルと違うのは、今回中にマイクを仕込むので、二重にします。一回り小さめのプラスチックカップを用意して、中に浮かし、カップとカップの間にビールのサンプルを流し込んで固めます。

泡がちょっと手こずりましたが、できたのがこれ!


中にマイクを仕込みます。

Nianticは金曜日にTGIFという、アルコールもありで社員みんなで楽しく語らったり情報共有する時間があります。そこで試してみました!

もう、ビール飲んでるようにしか見えない!これなら自然です。わりと消音も効きます。やりました。

やったやった、と思ったのですが、大きな見落としがありました。
飲み会以外の普通の昼間の会議ではビールなんて持ってたら怒られますよね。社外の人とかとのミーティングでこんなの持ってたら、失礼です。
なんでそんな簡単なことに、作る前に気づかないのか、と思いますが、作ってる最中って、思いついたアイディアを形にしたいという気持ちでいっぱいなんですよね。やってみないとわからないこと、やってみてはじめて見えることってあります。

収穫は、この時使ったピンマイク。1000円くらいなのに、音質も自然で聞きやすく、コンデンサータイプなので外でミーティングするときにも雑音を拾いにくく活躍します。オススメです。



もう一つ紹介します。
以前、目がビデオ会議でしっかり目線が合うガジェットを作って、これは大成功でした。そして、他にもさらに手軽な方法ないかな、と考えました。
結局ディスプレイの真ん中、相手の目がある辺りにウェブカメラがあればいいのに、っていう話なんですよね。でも、市販のウェブカメラは大きすぎて画面の真ん中に置いたら相手の顔が隠れてしまう。それならウェブカムが小さければいいわけです。
イメージ的にはスマートフォンに使われているような小型のカメラモジュールですよね。USBでつなげば手軽につなげるようなものがあれば理想です。
こういう時に足が向くのは秋葉原です。NHKの「ドキュメント72時間 - 秋葉原 電子部品に魅せられて」でも取材された千石電商さんに行ってきました。

NHK ドキュメント72時間「秋葉原 電子部品に魅せられて」神回でした…



店員の方にほしいものを相談したら、それならこういうのはどうでしょうか、とUVC (USB Video Class)に対応している小型カメラモジュールをすぐに見つけてくれました。基盤むき出しでサイズも小さく、USBでつなげばすぐウェブカムとして使える、ほぼ理想的です。こういう一を聞いて十を知り、サービスしてくれるお店ならではの体験は、オンラインでは味わえません…。



さらに、これを画面の真ん中にセットできるようなスタンドが作れないかな…と探したら、ケーブルを中に通して基盤を立てられそうなアクリルパイプ(320円)と…

それを垂直に立てるための足場になりそうな、ワッシャー入りゴム足(50円)

応用できそうな部品がすぐにみつかり、しかも安い…。さすが千石電商さん。感動します。
帰ってさっそくざっと組み立てて、実験してみます。


おお!いいんじゃないでしょうか! USBつないだだけでちゃんと動作します。これくらいのサイズなら、まあ、いいかも、と思えます。
ただ、こうなると欲が出てきます。横向きにするとほぼ基盤の薄さになるので、5mm四方くらいの鏡を使って潜望鏡のようにすればさらに目立たなくできるかも、とか、それこそ基盤から外してカメラだけにして相手の瞳辺りに重ねられないか、とか。
そういう意味では失敗ではないけど、まだ途上というか、うまくやればいい感じになりそう、というところですね。発展途上。



ここまでは自由工作的な感じでした。ソフト的にもいくつか試しています。
ビデオ会議をしていて、相手じゃなくて画面のサムネールの自分の画像が気になってしまうことってありませんか。僕はあります。そして時には、自分ばっかり見てしまっていることもあります。これは「メタ認知」に関わっていると僕は考えています。メタ認知というのは、ざっくり言えば、自分を客観視できる能力、つまり自らの認知を認知することです。
コールセンターやクレーム処理などの業務に携わる人の間では、小さな手鏡をデスクに置いて自分を映すことで、自分を客観視し、怒りや不安、ストレスや表情をコントロールしやすくすることで、冷静さを取り戻し、心に余裕を作ったりする助けにすることがあるそうです。鏡を見て話しかけたりするのは、自分を客観視するメタ認知能力を高めるトレーニングとして有効だそうで、ビデオ会議の間、話している自分の姿を見ることは、自分を客観視することでストレスを緩和し、自分の感情や反応をコントロールすることに役立っている可能性が高いです。とはいえ、ビデオ会議の最中、サムネールの方を見ると、視線がずれてしまいますよね。相手にも、サムネールの方ばかり見てるのかな、と伝わりますし、時と場合によっては失礼だと感じる人もいるかもしれません。

では、相手をきちんと見続けつつ、メタ認知を役立てるために自分の姿も自然に確認し、かつ視線をずらさないするにはどうしたらよいかと考えました。
ひとつ解決策となったのが、「PiP」というソフトです(MacOS向けのフリーウェアですが、Windowsでは OnTopReplica というソフトが人気のようです)。これはPicture In Picture という、任意のウィンドウの内容をクローンして、他のアプリがアクティブでも常に画面の一番手前に表示することができるものです。
PiPは、クローンした画面を常時手前に表示するだけでなく、ウィンドウの透明度を変更できます。この特徴を利用します。たとえばZoomでは設定で「デュアルモニタ」オプションを有効にし、一つのウィンドウに自分のサムネールをピンして、それをPiPでクローンします。クローンしたウィンドウのサイズを調整し、透明度を50%以下にして、相手の画像に重ねるとこんなふうになります。

自分がゴーストみたいですが(笑)、こうすることで、視線を外さずに、相手を見つつ自分も見ることができるようになります。メタ認知が違いを生みそうなミーティングでは使っていて、役立っている実感はあります。

とはいえ、Zoomではデュアルモニタでないと使えない、相手が少し見えづらくなる、重なっているのは気持ちわるいとか(笑)、できるなら改善したいところが出てきます。



とまあ、こんなふうに、散々、色々試していて、うまくいったこともあれば、いかないこともある、という感じですが、その度に学びがあります。失敗を恐れずやってみる、うまくいかなくても学びがある、そういうことを思い出すのが、フィンランド発の「National Day for Failure 失敗を讃える日」なんでしょう。素晴らしいですね。

10月13日に出せばいいのに、すでに15日になっていて、もう大失敗です。







2020/05/26

ビデオ会議で目線がバッチリ合う装置をDIYで作ってみた




先日ビデオ会議で、カメラのレンズに向かって話している自分に気づきました。

自分を映しているレンズは画面の端にあるので、画面の中心にいる相手を見ていると、視線が微妙にずれてしまいます。それよりは、相手の目を見たほうが、思いがより伝わる、と考えたわけです。ビデオ会議で相手の目をまっすぐ見て伝えようと思ったら、レンズを見て話すしかない。でもそうすると肝心の相手の顔は視界の端、見えにくくなってしまいます。相手の顔や反応を無視して、レンズに向かって話している姿は、ちょっと本末転倒です。かといって、画面の相手の顔を見れば、やっぱり視線は合いません。まあ、そんなのどうでもいいか、とも思いつつ、でも、なにかいい方法ないかな、と考えました。

 この課題、調べてみると様々な解決方法がすでに模索されています。今回はその中から、ハーフミラーを使う方法にしました。ハーフミラーはマジックミラーのようなもので、販売されるときも「ハーフミラー(マジックミラー)」みたいな表記で同じものとして売られていることも多いです。厳密には透過率などで定義されているようですが、今回の用途では、特にどっちでもこだわりません。下の図のように、45度に傾けたハーフミラーでタブレットに表示されたビデオ会議を反射し、ハーフミラーの裏側に設置したカメラで自分を撮します。こうすると、カメラが画面の向こう側にあるような感じになり、映っている相手の顔を見ながら、同時にカメラを見つめることができるようになります。テレビでカメラを見ながら原稿を読むために使われるテレプロンプターと仕組み的には変わりません。ただ、プロンプターは買うと数万円くらいしますので、自作することにしました。

ハーフミラーの仕組み

 まず、ハーフミラーを買います。大きさは、使うタブレットのディスプレイ部分のサイズや箱の大きさに合わせます。よくあるアスペクト比 3:4 のディスプレイなら、長辺の長さ四方のもので大体いけるでしょう。今回は長辺 19.7センチ の iPad を使うことにしたので、20センチ四方のものにしました。送料込みで 3600円くらい。透過率は10%のものが在庫があってすぐ発送できる、ということで、とりあえずそれにしました。

 次に、ダンボール箱を探します。大きさは使うタブレットやハーフミラーのサイズによります。幅は購入したハーフミラーの長辺より1センチくらい小さいもの。高さはタブレット自体の短辺以上、奥行きはタブレットの短辺より3センチ以上のものを探します。今回は、捨てられる箱の中から、蓋を開いたときに 幅19センチ x 奥行き22センチ x 高さ27センチのものが見つかったので使いました。
 

ハーフミラーとダンボール。ハーフミラーは向こうが少し透けて見えるのがわかると思います

 
 ダンボールの中を油性ペンなどで黒く塗ります。いわゆるマジックミラーですから、明るい方を反射し、暗い方をより透過するので、カメラ側は暗くする必要があるのです。全部塗る必要はなくて、ハーフミラーに映る部分、4面を塗ります。
 あとは、側面に、ハーフミラーとiPadを刺す溝をそれぞれ切り抜くだけです。今回は下のような図面にしました。

図面のPDFはこちらから

 最後にウェブカムを箱の奥面にセットします。このLogitechのウェブカムはカメラマウント用のネジ穴がついていたので、裏面に穴を開けてゴリラポッドで挟み込むようにしてセットしました。
このとき、カメラのレンズが、ビデオ会議で相手の目の高さに来るように調整します。だいたい、画面の真ん中くらいの高さです。
手持ちのウェブカムによっては、マジックテープを使ったり、裏面にレンズサイズの穴をあけてくっつけて置いたりと、応用してもらえたらと思います。



 これでもう完成です。溝にハーフミラーとタブレットを刺してみましょう。



 制作時間は1時間くらいでしょうか。油性ペンで塗るのを黒画用紙などを貼ることにすれば、もっと早くできると思います。

 今回はDuet(Sidecarでも同じです)で、iPadをセカンドディスプレイとして使い、ウェブカムはMacにつないでいます。鏡に映るので、画面が左右反転しますから、ソフトウェア的にウィンドウをあらかじめ反転させて最終的に正しく見えるようにします。無料で配布されている Flip Mac Window Utility を使わせてもらいました。

 早速テストしてみました。これは素晴らしい。相手の顔を見ながら、相手の目を見て話すことが出来ます。ばっちりです。

ちゃんと目線が合う!ウェブカムによっては光でどこにレンズがあるかわかります


 この箱は、アプリを活用すれば、テレプロンプターとしても使うことができます。ビデオ会議では事前に用意した原稿や資料を読んで伝えたいときもありますが、そんなとき手元や別画面を見ていると読んでいることが見え見えです。この箱を使えば、こんなふうに相手や聴衆を見つめながら、原稿を読むことができます。無料のテレプロンプターアプリでも、先述の Flip Mac Window Utility で反転させればいい感じになるかと思います。

原稿を読んでいるのに視線は画面にちゃんと向いている

 作ってみて意外な発見だったのは、こうして箱にすることで、相手がその中に来ているような、奇妙な箱庭的実在感が生まれることです。この感覚は面白い。生まれてきたインスピレーションを手繰り寄せ、とりあえず、机の下の下半身を印刷した紙をタブレットの下に貼り付けてみます。
机の下の写真を貼り付けたら、そこに住んでいるかのような生々しい存在感が!


 おお。なんか、机にいるみたいで、俄然生き生きしてきました。まるでそこに住んでいるみたいに感じます。

 猫を置いてみたらどうだろう。
 なごみます。シリアスな話をしていても、猫がいれば心も和らぎます。
 相手とこたつで話していて、そこに猫がいるような、生活感が出てきます。

猫が中で寝ているコタツで話しているようだ…!

  
 これ、いいです。
 思っていた以上に大きな可能性を感じます。箱の外装や内装次第で、さらに楽しく存在感が増してきそうです。ビデオ会議に箱庭的な面白さが加わります。これなら、ずっと映しておいても面白いかもしれない。

 
 次はあなたの番。ぜひ! 4000円くらいで、工作気分も楽しめますよ。
 
 

2018/05/08

東京地下鉄立体路線図をARでつくってみた


ちょっと前に、東京地下鉄立体路線図」というおもちゃが話題になりました。

僕の6歳になる息子は、日本に住んでまだ半年ほどですが、東京の地下鉄路線図の駅名はだいたい読めるようになってしまったほど、鉄道が大好きです。実家に帰ると、父(じーじ)の作ったNゲージのジオラマに貼り付きます。東京の地下鉄のダイナミックな高低差が立体でわかるこのおもちゃを買ってあげたい!と思いました。(自分が買いたい、というのもある(笑))が、家に置くスペースがない…。 その時ひらめきました。そうだ、ARで作れば、部屋に置いても物理的場所はまったくとらないじゃないか! さっそく作ることにしました。調べてみると、東京地下鉄路線の駅の標高を調べて3Dで表現したデータを作った方がいました。

Sketchup 形式だったので、この機会にSketchup を使ってみることに。僕は今まで CINEMA4D、Lightwave3D、3D StudioMax、Blender、Mayaなどの3Dソフトを使っていましたが、Sketchupは(Googleにいたくせに)ほとんど使ったことがなかったのです。今回使ってみて、その個性的なUIと哲学に感動しました。

路線図のデータは断片的なパスだけだったので、一度Explodeしてつなぎ直し、小さい子供も理解できるよう、太めのパイプ、チューブをイメージしてデザインしていきます。

あのアルファベットは Futura なんだなぁ、とか、色々と学びがありました。

駅を置くのが一苦労でした。路線図の駅の位置はデフォルメされているので、地図で確認しながら、路線図のラインと合わせて配置していきました。Appleの地図は路線図が見やすくて活躍しました。

最初は球だったのを円柱にして見やすく。

ちょっと時間がかかりましたが、配置完了。

これをHololensにデプロイしてみます。

ここ最近、自分でコーディングやらビルド、デプロイなんてしていませんでした。最新のUnity と Visual Studio をダウンロードするところからです。個人利用なら無料です。Unityは Sketchup ファイルのインポートに対応しているので、読み込ませて配置するだけ。Hololens公式サイトのチュートリアルに沿うだけで、スムーズにデプロイまでいけました。

早速起きてきた息子に見せてみます…!


色々な路線を触って楽しんでくれました。リビングに見事に地下鉄路線図が現れました。こんな巨大なものでも、ARならまったく場所を取りません。

せっかくなので、ARKitを利用して、iPhoneやiPadでも楽しめるようにしようと思いました。ARKitを使って何かを作るのもはじめてだったのですが、Unity の ARKit Plugin ならほとんどコードに触らなくてもちょっとしたものならできてしまいます。すごいですね。しかも無料。せっかくなので、配置だけでなく、Lean Touch を使って拡大縮小・回転や、配置のリセットができるようにしました。縮小して机の上に置いて色々な角度から眺めたり、超巨大にして自分が地下鉄のトンネルの中に入って歩いたりもできます。

Xcodeからデバイスにデプロイするところでいくつかバグ的なものに遭遇しましたが、ARアプリがここまで手軽に作れるようになっていることに、改めて感動しました。

もし、僕の家におもちゃの置き場所がたくさんあり、「東京地下鉄立体路線図」のおもちゃをそのまま買っていたら、Sketchupに改めて触れることも、Hololensアプリを作ってみることも、ARKitを使ってアプリを作ることもせず、「東京地下鉄立体路線図」を9路線揃えるために、ガチャガチャの前で奮闘していたことでしょう。

うちのCEOのジョン・ハンケは、「制限がイノベーションを生む」とインタビューで語ってて、通訳しながら、そうだよなぁ、と思っていました。様々な自由が制限される状況でこそ、知恵を絞り、生まれるものもあるんだな、とあらためて考えさせられました。

2017/01/02

謹賀新年 Happy New Year 2017


あけましておめでとうございます。
昨年中はお世話になりました。飛び立てるかどうかもわからない船だったNianticを支えて続けてくれた皆さんに心から感謝します。

春。Ingressでは、震災復興を祈念したイベントのため台南を訪れました。台南市長も来ていただき光栄でした。宮﨑駿さんとお会いしたり、鈴木敏夫さんのラジオにお呼びいただくなど、得難い体験もしました。ニコニコ闘会議では川上量生さんとトーク。Dwangoさんには様々な形でずっと助け続けてもらっています。

宮﨑駿監督と仕事机の前で。
鈴木敏夫さんとはラジオ

夏。PokemonGOが無事ローンチ。Nianticが考えてきたことが広く世界に届いていくのを感じました。
10000人以上のIngressプレイヤーが世界中から東京へと集まったAegisNova Tokyo。VJ/DJを手がけてくれたのは真鍋大度さん率いるライゾマティクスの皆さん。リオ・オリンピックの開会式直前で超多忙な中よくぞ…。開会式の後はサンフランシスコでも再会。開会式の振り付けを担当されたMIKIKOさんやPerfumeの皆さんもNianticを訪れてくれました。

真鍋さんとPefumeのサンフランシスコ公演の後、楽屋で。 

「恋ダンス」も大ヒット…。MIKIKOさんイヤーでしたね。
トレーナーレベル24、22、24(当時)!

秋。大阪で「Mission Day」というIngressのイベントを訪れました。2000人ほどの参加とのことでしたが、印象深い出来事がありました。実は3年前、会場から目と鼻の先の場所で、関西初の公式ファンイベントを開いたのです。参加者は20名くらい。ひとりひとりの顔を覚えられるくらいでした。その時の参加者の方たちが、3年後のそのイベントにも来て、声をかけてくれたのです。陣営が変わっていたり、時の流れを感じさせられました。色々なことが思い出され、なんとも言えない気持ちになりました。

Ingress カスタムカーで会いに来てくれた。

3年前からの…。ステージにも上がってくれました。

冬。宮城・福島・岩手の東北被災地沿岸でポケモンGOのイベントが10日間にわたってありました。石巻だけでも、10日間で10万人が訪れたと宮城県から発表されました
Nianticがゲームの力で人を被災地へと運ぶチャレンジを始めたのは、2年半前。CEOのジョン・ハンケ自ら石巻を訪れた最初の公式イベントの参加者は80人でした。
小さな一歩から少しずつ未来の大きな変化へつながっていくのを見てきました。

ジョンも参加したNiantic最初の石巻でのイベント


テレビのドキュメンタリーのインタビューで「あなたにとってポケモンGOはなんですか?」という質問を受けました。
「奇跡」と答えました。
プロジェクトが潰えてもおかしくない局面が何度もありました。どうして今、と思えるような出来事が何度も起きました。様々な偶然、幸運もありました。Ingressファンの支えもありました。何がどうつながったのか。振り返ると、何一つ、誰一人欠けてもたどり着けなかったような、そんな細い道を通って、辿りついた奇跡な気がします。
ゆく道を照らし続けてくれた皆さんに心から感謝します。

Aegis Nova Tokyo に集まった1万人のIngressエージェント

私事では、12月に息子が無事 5 歳になってサンフランシスコのお寺で七五三もしました。ゼロ歳の頃からの友達が日本に帰ってしまったり、寂しい思いも経験したようですが、元気にプリスクールに通っています。

2017年は、新しい挑戦の一年にしたいと思います。
今年もどうぞよろしくお願いします…!

息子もいつのまにか立派に文章がタイプできるほど成長しました。

2015/03/21

Sojourner メダルの違う側面


ニュージーランドのレベル16エージェント、Gavin さんから、こんなポストがありました。彼の、挑戦について。
グッと来たので、訳してみました。


原文: A different spin on Sojourner 
Sojourner メダルの違う側面

Soujounerには、登場して以来たくさんのコメントがあった。ほとんどはこのメダルのネガティブな面への批判だ。このポストはそれに関して話すためのものじゃない。

僕はイングレスとうつ病に関して、そして、Sojourner がうつ病に苦しむ僕達にどれだけポジティブな挑戦を創るかを話したい。

結構多くの人が僕がどれだけガチか知っているだろう。あまり知られていないのは多分、うつ病とつきあっている人と同様、僕のプレイの仕方は精神状態にだいぶ左右されることだ。いい気分の時は、どんどん外に出てプレイするし、特に運動するといった振る舞いそのものが、よりよい精神状態を生んでくれる。

気分が悪い時は? 僕はまったくプレイしない。数日のオフを楽しんで、ポータルをリチャージするためにパワーキューブをいじる以外は、まったくプレイしない。うつが来たら、家からは出ない。そして、ああ、僕は自宅ポータルを持っていない(笑)。

どこがうつ病と関係あるのかって? そう、うつ病持ちの人にとって、毎日、長期間にわたってハックを期待される Sojourner は信じられないほど困難なんだ。

でも、これは、それを無視したり、諦めたりすることを意味するだろうか? 絶対に違う。Sojourner を選ぶかどうかは君しだいだけれど。

うつ病の犠牲になった一人として、僕は Sojourner の挑戦を受け入れた。なぜならそれは直接、僕のうつ病に挑戦しているからだ。外に出て、一日2回ハックする、理想的なのは朝と夜、それはうつ病持ちにはかなり難しい。Sojourner は真正面から挑戦している。

そう、僕は単純に僕のうつ病に挑むために、360日、毎日、自分を外へと出すために、Sojourner の挑戦を受け入れている。人生のあらゆることと同じように、気楽な日にはそれは簡単だ。チャレンジングなのは、落ち込んでいる時もそれを続けることだ。

僕は、うつ病で苦しんでいる僕のイングレスの友達にも、このチャレンジを受け入れるよう、申し入れたい。毎日、世界へ飛び出すんだ、何があろうとも (^^)

#AHackADayKeepsDepressionAway  



追記
彼は、2016年の3月5日に見事にSojouner の Onyx を獲得し、報告しています
80%は普通の日、15%はかなり大変だった、そして残り5%はもっとも困難な日々で、車になんとか乗り込んでハックをしにいった、ということです。彼は報告ポストの中でこう書いています。
「悪い日々こそ外に出よう。よい日に外に出ることは誰にでもできる。物事が困難なとき、自分が落ち込んでいるとき、そういうときこそ外に出ることが、あなたを快活にする助けに本当になるんだ」


2015/01/31

文化庁メディア芸術祭でIngress!

昨年発表されましたが、Ingressが、第18回メディア芸術祭でエンターテイメント部門「大賞」を授賞しました。

来週2月3日、文化庁メディア芸術祭の贈呈式に、僕と、UX/アートディレクターのデニス・ホワン(Dennis Hwang) が来日して登壇します。

デニスと一緒に日本で登壇できることは、実は僕にとってとても感慨深いです。Niantic Labsに誘ってくれたのがそもそも彼なのですが、それだけではありません。8年前、僕がGoogleに入った時の面接の最後に出てきたのが彼でした。そして、最初のマネージャーになりました。

デニスは、祝日にホームページを飾る、Googleホリデーロゴ(Doodle)を、2000年から2007年あたりまで、ほとんどたった一人で描いてきた人物です。彼の作品は、シンプルな中にも温かさがあって、人をほっとさせるようなところがあります。

遊び心たっぷりのグーグルロゴを描くのは、この人!

2008年から僕もロゴを描き始め、一緒にインタビューに答えたことも何度もあります。

Googleと世間をつなぐ"Doodle"とは? - 社内デザイナーに聞く

ウェブデザインチームを率いてきたデニスは、その後Niantic Labsに移籍します。彼はまたたったひとりのデザイナーに戻ってました。初期のイングレスのビジュアルデザインはほぼすべて彼が手がけたものです。ポータルの姿や色合い、XMの煌きには、彼のどこか温かみのある作風が、よく出ていると思います。

デニスはわりとシャイなのと、あと夜型なんであまり表に出てきません。今回の来日、アートの祭典で、彼がまた来日して、ステージに上がるのが本当に嬉しい。今回、いくつかのメディアが彼へのインタビューをする予定です。どんな話が出るか今から楽しみです。

2月3日の授賞式の後、2月4日から2月15日まで六本木の国立新美術館で開かれる文化庁メディア芸術祭でのイングレスの展示は、Darsana Tokyo に引き続き、ライゾマティクス・真鍋大度さんとのコラボレーションです。三面プロジェクションで『Ingress』のAPIを活用した映像空間を現出させます。「啓示の夜」のナイアンティック研究所を再現し「Power Cube」オブジェも展示します。また三面にプロジェクションされている会場近辺の3つのポータルの状態によって、展示がリアルタイムに変化していきます。すべてのポータルが青い時にはレジスタンスに向けたメッセージが、緑の時にはエンライテンドに向けたメッセージがパワーキューブに浮かび上がります。
展示イメージ
そして、これらのポータルがある状態(秘密です)になると、真鍋さんがデザインした特典映像が流れます。一つは、先日5000人を集めて東京を舞台に行われた XM アノマリーDarsanaのログ情報を利用した特別なモーショングラフィックス。そして、もう一つイースターエッグもありますが…この条件を満たすのは難しいかも…。
ぜひ、仲間と共に訪れて、どうすればそれらが見られるのか、探してください。時によっては激しい戦いになるかもしれませんね…。

床には、啓示の夜に残されたメッセージが。隠されたパスコードを見つけてください。そして、あなたのメッセージも残してください。この床は世界中を巡ることになるでしょう。
ぜひ、メディア芸術祭を訪れて、Ingressの前代未聞のインタラクティブな展示、そして他の素晴らしい受賞作品の数々をぜひ楽しんでください。入場は完全に無料!
個人的には、真鍋さんと坂本龍一さんのコラボ作品や、「アオイホノオ(炎の転校生全巻持ってるファンですよ…)」、海女ゾネスで感銘を受けたAC部の展示が楽しみです。

また、初日である2月4日の夜 19:00 からは、今年度のエンターテインメント部門の受賞作家の多彩な表現をプレゼンテーションやトーク、パフォーマンスで紹介するイベントが、六本木のスーパーデラックスで行われます。僕も参加して、ちょっとした講演をする予定です。時間のある方は、ぜひお会いしましょう。申し込みは必要のようですが入場は無料です。定員は250名。詳細と参加申し込みはここから。

最後に、世界初の、Ingressの展示を日本で行える機会を与えてくれた文化庁メディア芸術祭の方々、大協力してくれた真鍋大度さんとライゾマティクスの皆さん、そして、大賞に導いた日本のエージェントたちの歩みに改めて感謝します。

会場内外の協力でリアルタイムに展示を変化させる前代未聞の展示、ぜひみなさん自身で確かめ、楽しんでください!





2014/10/18

アーティファクト・ゲーム 大阪湾攻防戦

このポストは、アーティファクト・ゲーム の続きです。ぜひそちらを先にお読みください

地球の裏側から、様々な国の国境を超え、リンクをつないで地球を半周させ、アーティファクトを日本まで運ぶことはできるでしょうか。

今回、世界中に出現した40のアーティファクトの目的地となるポータルは、レジスタンスはオーストラリアのシドニー、エンライテンドは日本の兵庫・西宮にある「アサリガイ(Clam Shell)」に現れました。日本のエンライテンドは、世界から集まるアーティファクトの受け入れを目指します。しかし、その道のりは平坦ではありませんでした。

ここでは、日本に上陸したアーティファクトの一つ#9を巡る、大阪湾攻防戦の様子を、エージェントからのレポートを通して、伝えたいと思います。

アーティファクト#9の旅は、日本から見て地球の裏側、チリの南部から始まりました。現地のエンライテンドエージェントはこれを国外、それも遠く離れた日本へと送り出すために奮闘を開始します。

南米のエージェントたち
チリに現れたアーティファクト#9

全てはチリ南部から始まった。レベル7や8のエージェントが少なかったが、エージェントは各地から駆けつけて#9を保持した。アルゼンチン北部のサン・ルイスへ運ぶための戦いは、2週間に及んだ。

レジスタンスのエージェントグループがサン・ルイスに来た時は、チリのアントファガスタへ、#9を避難させざるをえなかった。

チリ北部ではさらに激しい戦いがあった。レジスタンスエージェントが#9を奪って、チリ北部のイクイキューへと送ったのだ。4人のエージェントが、飛行機で駆けつけ、#9を取り戻した。600ドルの旅だ。
Hugo Contreras のレポートより


彼らはその後も激闘を続け、遂にペルーからメキシコを経由して、#9をハワイへと送り出すことに成功します。

ペルー西岸からメキシコを経由してハワイへの国際トス

南米のエージェントの思いが託された #9 を、ゴールへと導くべく、日本のエンライテンドは ハワイチームとプランを調整していきます。

Artifact #40, #9のために、ハワイチームとの交渉・スケジュール調整を担当しました。日本から挙げられた複数のプランについて、ハワイチームに説明し、プランの変更連絡等も随時実施しました。特に、Artifactイベントの終盤では、Artifactの移動間隔が、1時間から30分、15分等に変更される可能性を考慮して、ハワイからの移動パターンを作成し、調整を行いました。
 +Masahiro Kiura のレポートより

日本・アメリカの協力で #9 は日本へ


そして、Heliosシリーズの最終日である9月27日、エンライテンドはハワイから室戸岬に辿り着いた #9 を兵庫・西宮のポータル「Clam Shell(アサリガイ)」へとゴールさせる作戦「オペレーション・アサリの酒蒸」を決行しました。エンライテンドは一週間前に#40を見事にゴールさせています。レジスタンスは前回を上回る入念な計画で迎え撃ってくることが予想されました。

+Masahiro Kiura と +hori atsushi のレポートより抜粋。詳細は本レポートを。
9/27
関西チームは、様々な事情から24時頃の受入れを目指したかった。しかし、日本時間で24時ゴールを目指すと、ハワイチームは夜中から明け方の作戦となる。前回その時間での作戦を強いたハワイチームに、再度24時受入れと言うのはできないと思った。その為、今回は日本へのArtifact受入れを21:00(JST)とした。

受入れ方法は多数の案を検討した結果、前回と同じく室戸岬からアサリガイヘ直接蹴りこむ方法を選んだ。

前回の教訓を踏まえ、前回手薄だった和歌山へ遠征チームを派遣、同時に紀伊水道の要である友ヶ島にもAgentを派遣した。最終の渡し船で島へ渡れば翌日まで戻れない、キャンプ覚悟の派遣だ。

そして、ハワイ~室戸~沖縄の間に妨害Linkを出させないため、室戸岬~潮岬~式根島~野島崎という関東から関西に至る太平洋岸を完全に封鎖する妨害阻止Linkを作ることになった。
そして友ヶ島を中心に紀伊水道から大阪湾に縦リンクを張り巡らし、最後に友ヶ島をADAしてLinkを切ると同時に室戸岬からアサリガイヘLinkを通す。計画が完成した。

9/28 AM
大阪湾岸地帯と淡路島東岸には立ち入り時間に制限のあるポータルがいくつか存在する。
特に堺にある「スクラップシュート」と神戸の「神戸空港」、泉佐野の「関西国際空港」は湾内に突き出た場所にあり、関西国際空港以外は時間制限も有る戦略上最重要拠点だった。
淡路島及び友ヶ島遠征チームには、重要拠点のキーを事前に渡した。確実に抑えるべきポイントだった。

17:20
アサリガイチームの集合場所へ向かう途中、衝撃の報告を受ける。
「スクラップシュートの制圧に失敗」

17:30
室戸岬及び神戸と友ヶ島にガードリンクを張る計画だった。計画は誤ってはいなかったが、青エージェントが多方面に展開し、緑が大阪湾に張ったリンクはことごとく切断される状況。

22:00
22時までに作戦の完了を目論んでいたが、両陣営の拠点となりうる神戸空港に緑エージェントが追加で参戦したにもかかわらず、青の勢力は衰えず、23時のチェックポイントも、ただ過ぎ去って行った。一方、淡路島では、ENLチームが生石公園エリアで待機し、大阪湾の妨害リンクを阻止しようとしていた。途中参戦でかけつけた緑のエージェント2人は車で二手に分かれ、大阪湾のブロックリンクを切るために奔走した。長い時間にわたってこの攻防は続いた。

24:00
24時を過ぎても事態は打開されず、すぐに25時はやってきた。日付が変わっても、ターゲットポータルの周辺では、舞洲エリアで何人かの緑エージェントが近隣からの青の邪魔リンクを阻止するためガードリンクを作るべく奮闘していた。やはり青のほうが優勢で、アサリガイエリアに対して何度も邪魔リンクが張られた。


エンライテンドの司令塔を担当した +hori atsushi は、レジスタンスの激しい抵抗と、陣営の人員不足、特に淡路島のリソースが足らない中、予定していた25時の受け入れを諦める決断を下します。室戸、潮岬など、遠方へ走ってる仲間や周辺で走り回ってる仲間、アサリガイで辛抱強く待っているエージェントたち、日本までアーティファクトを運んでくれた海外のチーム、彼らの苦労や犠牲(時間やお金)をすべて無駄にするかもしれないというプレッシャーに押しつぶされそうになったと言います。
彼は、最後に立ち上がります。

26時も近づき仲間全員に焦燥が見られる中、最後の決断を下した。
”27時のチェックポイントが、最後の戦いだ”
大阪、神戸、淡路島、そしてその他すべてのオペレーションに携わる緑チームのメンバーは、27時に向けて最後の力を振り絞った。


レジスタンスのブロックリンクがすべて消されたのは26:15。英語版のレポートを投稿した +Masahiro Kiura は、それを「奇跡のようだった」と書いています。

極秘に和歌山で潜んでいた @Danatea が加太から舞洲と南港へと伸びていたリンクを切り、ついにリンク可能なポータルがスキャナーに現れた。ガードするリンクが張られ、さらに増えた。淡路島の @Touji は、神戸へのガードリンクを即座に張った。レジスタンスの島からのリンクは @yhafei によって一掃された。

その緑の線たちは、まるで咲き誇る花のように美しかった。淡路島の生石から西側のリンクが、和歌山の加太から東側のリンクが、そして、中央には、まっすぐ長い、全てのエンライテンドチームがずっと待ち望んでいたリンクがあった。

室戸岬のエージェントの準備はできていた。ハワイから運ばれてきた#9を確実にキープしていた。そして、時は来た。アサリガイへのリンクは、張られた。

ターゲットポータルでは、エンライテンドエージェントが最後の仕上げをした。真実の瞬間だった。四国のエンライテンドもいた。何が起こるのか、みんなわかっていた。「10, 9, 8, .....3,2,1,0」27時になった。そして、#9は遂にアサリガイに安置された。長い旅はついに終わりを迎えた。
Clam Shell(アサリガイ)に到達したアーティファクト
アサリガイで戦ったエージェントたち


エンライテンドがレジスタンスの堅守をついに破る瞬間を、タイムラプスで捉えた映像が +UTaro Ingress の手によって残っています。その美しさは、まさに花のようです。(2:25辺りからがその瞬間)


守ったレジスタンスも、エンライテンドをギリギリまで追い詰めました。
この時、オペレーター役を務めていた +Tomohiro MATSUDA は、こう回想しています。

結果的には読み読みが甘かった部分を突かれて押さえ込まれゴールされてしまいましたが、このあたりは少しの差だったように思えます。上手く行けば1~2時間いや、下手したらもっと粘れたかもしれないだけに悔しいところですが、ともあれだいぶ妨害できたと思っているので満足です。

実際、この27時の総攻撃が成らなければ、エンライテンドは諦めていたかもしれません。

地球の裏側から、各国のエージェントの思いの乗ったアーティファクトを、ゴールへと運びきったエンライテンドは本当に見事でした。彼らの作ったこのオペレーションのエンドロールを見てグッときてしまったのは僕だけではないはずです。




後日、このオペレーションに参加したエージェントがこんなポストをGoogle+に上げていました。

+たなかたけ  originally shared:
なんかね、 #HELIOS も終わって平穏な日曜日を過ごしながら湾岸線を走ってるだけなのに、いつもと世界の見え方が違うの
それぞれの沿岸部で起きたストーリーや、それに関わったたくさんの人達、海の向こうに張られたリンクの先にあるもの、そんなたくさんのものが見える。

「あなたの周りの世界は見えたままとは限らない 」

そういうことだったのか。