2020/05/26

ビデオ会議で目線がバッチリ合う装置をDIYで作ってみた




先日ビデオ会議で、カメラのレンズに向かって話している自分に気づきました。

自分を映しているレンズは画面の端にあるので、画面の中心にいる相手を見ていると、視線が微妙にずれてしまいます。それよりは、相手の目を見たほうが、思いがより伝わる、と考えたわけです。ビデオ会議で相手の目をまっすぐ見て伝えようと思ったら、レンズを見て話すしかない。でもそうすると肝心の相手の顔は視界の端、見えにくくなってしまいます。相手の顔や反応を無視して、レンズに向かって話している姿は、ちょっと本末転倒です。かといって、画面の相手の顔を見れば、やっぱり視線は合いません。まあ、そんなのどうでもいいか、とも思いつつ、でも、なにかいい方法ないかな、と考えました。

 この課題、調べてみると様々な解決方法がすでに模索されています。今回はその中から、ハーフミラーを使う方法にしました。ハーフミラーはマジックミラーのようなもので、販売されるときも「ハーフミラー(マジックミラー)」みたいな表記で同じものとして売られていることも多いです。厳密には透過率などで定義されているようですが、今回の用途では、特にどっちでもこだわりません。下の図のように、45度に傾けたハーフミラーでタブレットに表示されたビデオ会議を反射し、ハーフミラーの裏側に設置したカメラで自分を撮します。こうすると、カメラが画面の向こう側にあるような感じになり、映っている相手の顔を見ながら、同時にカメラを見つめることができるようになります。テレビでカメラを見ながら原稿を読むために使われるテレプロンプターと仕組み的には変わりません。ただ、プロンプターは買うと数万円くらいしますので、自作することにしました。

ハーフミラーの仕組み

 まず、ハーフミラーを買います。大きさは、使うタブレットのディスプレイ部分のサイズや箱の大きさに合わせます。よくあるアスペクト比 3:4 のディスプレイなら、長辺の長さ四方のもので大体いけるでしょう。今回は長辺 19.7センチ の iPad を使うことにしたので、20センチ四方のものにしました。送料込みで 3600円くらい。透過率は10%のものが在庫があってすぐ発送できる、ということで、とりあえずそれにしました。

 次に、ダンボール箱を探します。大きさは使うタブレットやハーフミラーのサイズによります。幅は購入したハーフミラーの長辺より1センチくらい小さいもの。高さはタブレット自体の短辺以上、奥行きはタブレットの短辺より3センチ以上のものを探します。今回は、捨てられる箱の中から、蓋を開いたときに 幅19センチ x 奥行き22センチ x 高さ27センチのものが見つかったので使いました。
 

ハーフミラーとダンボール。ハーフミラーは向こうが少し透けて見えるのがわかると思います

 
 ダンボールの中を油性ペンなどで黒く塗ります。いわゆるマジックミラーですから、明るい方を反射し、暗い方をより透過するので、カメラ側は暗くする必要があるのです。全部塗る必要はなくて、ハーフミラーに映る部分、4面を塗ります。
 あとは、側面に、ハーフミラーとiPadを刺す溝をそれぞれ切り抜くだけです。今回は下のような図面にしました。

図面のPDFはこちらから

 最後にウェブカムを箱の奥面にセットします。このLogitechのウェブカムはカメラマウント用のネジ穴がついていたので、裏面に穴を開けてゴリラポッドで挟み込むようにしてセットしました。
このとき、カメラのレンズが、ビデオ会議で相手の目の高さに来るように調整します。だいたい、画面の真ん中くらいの高さです。
手持ちのウェブカムによっては、マジックテープを使ったり、裏面にレンズサイズの穴をあけてくっつけて置いたりと、応用してもらえたらと思います。



 これでもう完成です。溝にハーフミラーとタブレットを刺してみましょう。



 制作時間は1時間くらいでしょうか。油性ペンで塗るのを黒画用紙などを貼ることにすれば、もっと早くできると思います。

 今回はDuet(Sidecarでも同じです)で、iPadをセカンドディスプレイとして使い、ウェブカムはMacにつないでいます。鏡に映るので、画面が左右反転しますから、ソフトウェア的にウィンドウをあらかじめ反転させて最終的に正しく見えるようにします。無料で配布されている Flip Mac Window Utility を使わせてもらいました。

 早速テストしてみました。これは素晴らしい。相手の顔を見ながら、相手の目を見て話すことが出来ます。ばっちりです。

ちゃんと目線が合う!ウェブカムによっては光でどこにレンズがあるかわかります


 この箱は、アプリを活用すれば、テレプロンプターとしても使うことができます。ビデオ会議では事前に用意した原稿や資料を読んで伝えたいときもありますが、そんなとき手元や別画面を見ていると読んでいることが見え見えです。この箱を使えば、こんなふうに相手や聴衆を見つめながら、原稿を読むことができます。無料のテレプロンプターアプリでも、先述の Flip Mac Window Utility で反転させればいい感じになるかと思います。

原稿を読んでいるのに視線は画面にちゃんと向いている

 作ってみて意外な発見だったのは、こうして箱にすることで、相手がその中に来ているような、奇妙な箱庭的実在感が生まれることです。この感覚は面白い。生まれてきたインスピレーションを手繰り寄せ、とりあえず、机の下の下半身を印刷した紙をタブレットの下に貼り付けてみます。
机の下の写真を貼り付けたら、そこに住んでいるかのような生々しい存在感が!


 おお。なんか、机にいるみたいで、俄然生き生きしてきました。まるでそこに住んでいるみたいに感じます。

 猫を置いてみたらどうだろう。
 なごみます。シリアスな話をしていても、猫がいれば心も和らぎます。
 相手とこたつで話していて、そこに猫がいるような、生活感が出てきます。

猫が中で寝ているコタツで話しているようだ…!

  
 これ、いいです。
 思っていた以上に大きな可能性を感じます。箱の外装や内装次第で、さらに楽しく存在感が増してきそうです。ビデオ会議に箱庭的な面白さが加わります。これなら、ずっと映しておいても面白いかもしれない。

 
 次はあなたの番。ぜひ! 4000円くらいで、工作気分も楽しめますよ。
 
 

2 件のコメント:

  1. 是非商品化、あるいは自作費をお支払いするので、つくってくれませんか?

    よろしければ、ご連絡お待ちしておます。

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  2. これいいですね。
    最近在宅業務で、TEAMS音声のみが多いのですが、やはり顔が見えたほうがいいので、目線がなんとかならないか、と思っていました。

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