アークライト作戦
僕達がイスラエルでイングレスをプレイし始めた時、夢ができた。その夢は、金持ちになりたいとか、有名になりたいとか、飛ぶ能力だったり、無敵になりたい、とかだったりもしたけれど、もうひとつあった。それは、国を超えるフィールドを作ることだ。
イスラエルのプレイヤーにとって、それはちょっと問題だ。僕達の周りの国は、イスラエルと温かい関係を持ってはいない、控えめに言っても。僕達は近所の国へあまり旅行をしない。ちゃんと外交を持っている国へもだ。複雑なんだ。
僕達は、イングレスには今までの国境を超える力があると信じた。イングレスのプレイヤーは、つまらない国家主義や、政治的ないさかいを乗り越えると信じた。僕達は協力と信頼によって、何かを成し遂げることができると信じた。でも悲しいことに、正しい考えを持った人間でもイスラエルのパスポートを持っていれば、レバノンの土は踏めないし、その逆も然りだとも信じていた。控えめに言っても…愚かなことだ。
5月18日、僕はレバノンのエンライテンドのエージェント、ムハマドと話を始めた。僕達は、あらゆる選択肢を検討した。キプロスでミーティングをし、ポータルキー(ゲーム内でポータル同志をリンクするための鍵。メールなどでは送れず、同じ場所にいないと受け渡しできない)をヨルダン経由で受け渡しする…、そんな可能性だ。これがそう簡単にいかないことだけは確かだった。
6月9日、イスラエルのエンライテンドのプレーヤー、ピーターが、キプロスから、ラルニカの5つのポータルキーを携えて帰ってきた。僕らは興奮した。そして、キプロスへのフィールドを作ることを考え始めた。でも、その時イスラエルのレベル8(最高レベル)のプレイヤーはみんな忙しくて、僕がイギリスとパリに旅行に行く時まで、それに時間をさくことができなかった。でも、そのフライトが数時間前、僕はもう一度ムハマドと話した。彼は、「Jeho」というコードネームのエージェントが、僕がパリを去る少し後の5日から9日までパリにいる、と知らせてくれた。計画は整った。車輪が回り始めた。
イスラエルのレジスタンスが、オペレーション「炎の剣」で、はじめてイスラエルの国境を破り、キプロスとイスラエルをつないだ。それは感動的だった。けれど、「ああ、僕らが最初にするべきだったのに!」と胸がズキズキしたりもした。でもイングレスでは、何を為すべきだったかでポイントをゲットできるわけじゃないから、僕らは元の計画を実行に移した。
パリで電車から降りて、パリのエンライテンドと交信を開始した。それは数日かかったけれど(僕のミスで3GのSIMを持って行かなかったからだけど)、とうとう僕はパリのエンライテンドのG+コミュニティに加えてもらうことができた。そこで、僕は状況をコミュニティーに説明して、誰か、僕の持っているポータルキーを預かってJehoの元へ届けてくれる人が見つかることを祈った。キャシーという人が、ある朝、フリーwifiのあるマクドナルドで会ってくれることになった。彼女は、Jehoと実際に会ってキーを渡すRumeshという人に、キーを届けてくれた。レバノンに戻ったJehoは、そのポータルキーをムハマドに渡した。最後のピースは、ムハマドのいとこだ。(彼は違う組織なのに、僕らのオペレーションに協力してくれた。だから、ここでコードネームを出すことはできない)彼は、僕達が持っているのと同じキプロスのポータルのキーを、集めた。彼は、7月19日にレバノンに変える予定だった。だから、安全策をとって、僕らは作戦の決行を7月26日に予定した。ポータルキーは準備万端だ。いよいよ、戦いの準備だ。
レバノンでは、Ak7(アフマド)と、Aramazt(セバジ)が、ムハマドの作戦への準備を手伝ってくれた。ジャービスとADAウイルスを使って、ポータルがエイラート(イスラエル最南端の都市)までの長距離リンクを張れるようにアップグレードし、予定されているレバノンとキプロスのポータルの間のエリアをリンクが張れる状態にキープしてくれた。(すでに存在するリンクをまたいでリンクを張ることはできない)
イスラエルには、すごく活動的なレジスタンスのエージェントがいたから、最後の最後まで、障害になるリンクを解除するのを待った。ユバルが北イスラエルの邪魔なリンクを掃除することになっていて、僕らはそれで十分だと思っていた。僕らは間違っていた。作戦の数時間前、イスラエルのレジスタンスは、南イスラエルをカバーするフィールドを作ったのだ。レバノンからのリンクを受け入れるためには、僕らは、ディモナにあるポータルを落とさなくてはならなくなったが、そのエリアに知り合いは誰もいなかった。幸運にも、最も感動的にタイミングを読む勘の鋭さを見せた、イスラエルエンライテンドのエージェント、フェドロがそのエリアにいて、彼がその障害になるリンクを落とすまで、僕はほとんどパニックだった。
キプロスのバウムもターゲットにしているレルニカのポータルをグリーンにして助けてくれた。マークとオーレンとビクターにも感謝したい。彼らは、計画を立てたり、作戦の前に装備を運ぶのを手伝ってくれた。
作戦予定時刻の22:30を少し過ぎた時、僕らは全員、用意が整っていた。ユバルと彼の家族が、北イスラエルの厄介なポータルを落とし、ヤシャと彼の奥さんが、南イスラエルの干渉しているリンク(レジスタンスがその日に構築したフィールドの残骸)を取り除き、そして、シャウリとカイルは、エイラートのターゲットのポータルの側に立って、ジャービスウイルスでポータルを自分たちのものに変え、キプロスへの長距離リンクが張れるようにアップグレードし、そしてムハマドがレバノンのポータルからエイラートとキプロスへリンクを張って、フィールドを閉じた。
22:25 <Mk9> ボアレジ村 から 聖ラザルス へリンクが張られました
22:32 <Mk9> ボアレジ村 から 信号機のモニュメント へリンクが張られました
22:35 <Firefds> 信号機のモニュメントへのフィールドが作られました(+12678002 MU)
22:35 <Firefds> 信号機のモニュメント から 聖ラザルス へリンクが張られました。
これで終わり。2ヶ月以上の準備、4つの国の住人、僕の知る限り最初の、外交関係のない国々から始まった、国境を超える1260万MUにのぼるフィールド。その実現を見るのは、そして、僕が熱望したとおり、偉大な何かを創るために、物理的な国境を超えることに成功したのは、驚くほど素晴らしかった。
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